【サッカーで学ぶスペイン語】スポーツ高等評議会、ダニ・オルモらの仮登録を承認

「スペインのサッカーが好きだけど、日本語だと情報が少なくて困っている!」

現地メディアでどのように報じられているか、知りたい!

全国の海外サッカーファンの皆様、こんなお悩みありませんか?

のぶしーと

私自身、日頃からスペインのサッカーラジオ番組を聴くのが好きなサッカーファンです。

元・日西通訳で、スペイン語圏の大使館で大使秘書もやっていたスペイン語のプロとして、責任を持ってスペインメディアの情報を教材として扱わせていただきます。

この記事を通して、スペインの現地メディアで使われるリアルなネイティブ表現」を体感し、皆様の学習に活かしていただけますと幸いです。

目次

事態急転、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの仮登録が公式承認

スポーツ高等評議会が緊急仮措置として再登録を承認

2025年1月4日に署名されたRFEF(スペインサッカー連盟)とLaLiga(ラ・リーガ)の決定を覆す形で、逆転での再登録が承認されました。

スペインのスポーツ高等評議会(CSD)は、FCバルセロナが提出したダニ・オルモとパウ・ビクトルの登録に関する緊急仮措置を承認したと発表した。この決定は暫定的なもので、クラブと選手が提出した異議申し立てが最終的に判断されるまで有効である。

¡Oficial: el CSD otorga la cautelar al Barça por Dani Olmo y Pau Víctor! – Sporto(2025年1月8日)

CSDの発表によれば、この措置は2025年1月4日に署名されたRFEF(スペインサッカー連盟)とLaLiga(ラ・リーガ)の調整協定委員会の決定を一時停止し、両選手のスポーツライセンスが取り消されることを防ぐものである。また、このライセンスは最終決定が下されるまで有効とされる。

¡Oficial: el CSD otorga la cautelar al Barça por Dani Olmo y Pau Víctor! – Sporto(2025年1月8日)

バルセロナ側の主張とCSDの判断とは?

バルセロナ側は、「調整協定委員会が選手の登録やライセンス発行を承認する権限を持たない」と主張し、1月7日にCSDへ異議申し立てを提出していた。

その申し立てを受けて、CSDが緊急仮措置として再登録を承認した格好です。

バルセロナは、RFEFとLaLiga(ラ・リーガ)の承認が得られなかったため、1月7日にCSDへ異議申し立てを提出していた。提出された52ページの文書と60点以上の関連資料を基に、CSDはこの緊急措置を判断。クラブと選手側は、調整協定委員会が選手の登録やライセンス発行を承認する権限を持たないと主張している。委員会は協定の解釈や履行の監視を担うだけであり、今回の決定には権限超過の疑いがあるとして異議を申し立てた。

¡Oficial: el CSD otorga la cautelar al Barça por Dani Olmo y Pau Víctor! – Sporto(2025年1月8日)

CSDは、今回の措置を講じる背景として、選手たちの法的権利が現行スポーツ法の下で侵害され、即時かつ修復困難な被害が生じる可能性を指摘している。

¡Oficial: el CSD otorga la cautelar al Barça por Dani Olmo y Pau Víctor! – Sporto(2025年1月8日)

上記の引用(バルセロナ側の主張内容)だけを見ると、「まぁ、そうなこともあるかぁ」と思ってしまうかもしれませんね。ここで補足を入れておきます。

そもそも、スペインサッカー連盟とラ・リーガは定められたルールに基づいて、ダニ・オルモとパウ・ビクトルの登録期限(2024年12月31日)を設定し、バルセロナはその日付までに登録をすべく動いていたはずです。

しかし、両選手の登録がされないまま締切日を超過したため、彼らの登録が無効化されましたまぁ、当然ですよね。

上記引用にある通り、CSDは選手たちの法的権利が現行スポーツ法の下で侵害され、即時かつ修復困難な被害が生じる可能性」を示唆しています。

つまり、「スペインサッカー連盟とラ・リーガが決めた現在のルールでは、選手たちの法的権利が侵害される恐れがあると述べているのと同義です。

単刀直入に言えば、この決定は「サッカー連盟とラ・リーガの調整協定委員会存在の否定に近いものです。彼らのルールに則って下した判断をウルトラCの方法でひっくり返している訳ですからね。

そして、そのルールは、同リーグで戦う19チームが今まで従ってきたルールでもあります。これを聞いて他のクラブやそのサポーターたちは何を思うのでしょうか?

私も一サッカーファンとして、「一クラブの会長が交渉したらすぐにひっくり返うようなルールって、一体なに…?」と思わざるを得ません。

とにもかくにも、バルセロナの2選手の再登録は「緊急仮措置」として公式承認されました

今回の決定をスペイン政界も問題視|「特定クラブへの優遇」と非難

一見、「バルセロナ贔屓」とも思えるCSDの決定に対して、スペインの政界からも問題視する声が挙がっています。

ダニ・オルモとパウ・ビクトルの登録問題は、もはやスポーツ界の話題にとどまらず、スペインの政治問題にまで発展している。1週間以上続いた不透明な状況を経て、スペインスポーツ高等評議会(CSD)は今週水曜日の午後、FCバルセロナが提出した「不可抗力」を主張する文書を基に、両選手の登録を暫定的に認める仮措置を決定した。この決定により、両選手は一時的にバルサでのプレーを続けることが可能となる。

El caso Olmo salta a la política: El PP acusa al gobierno de dar un “trato de favor a un club y adulterar la competición”(2025年1月8日)

この決定を受け、野党第一党である国民党(PP)の議会報道官、ボルハ・センペル氏は、政府とCSDを激しく非難。CSDが教育・スポーツ省の管轄下にあることを理由に、「政府は規則や連盟(RFEF)およびラ・リーガの基準に反してFCバルセロナを優遇し、競技の公平性を損ねた」とX(旧Twitter)に投稿した。

El caso Olmo salta a la política: El PP acusa al gobierno de dar un “trato de favor a un club y adulterar la competición”(2025年1月8日)

さらに、センペル氏はCSDがバルサのようなビッグクラブを「恩赦」したと非難。「これが小規模なクラブだった場合、同じ措置が取られたとは到底思えない」と断じた。

El caso Olmo salta a la política: El PP acusa al gobierno de dar un “trato de favor a un club y adulterar la competición”(2025年1月8日)

記事で使われているスペイン語からネイティブ表現を学ぶ

続いて、記事内で使われているスペイン語ネイティブ表現を一つずつ解説していきます。

ネイティブ表現①|Medida cautelar(暫定措置・仮処分)

法律や公式文脈でよく使われる表現で、最終的な判断が下されるまでの間、一時的に取られる措置を指します。

この表現はニュースや法的な話題で頻出するため、フォーマルなスペイン語を学ぶ上で重要です。

El juez impuso una medida cautelar para proteger los derechos del demandante.
(裁判官は原告の権利を守るために暫定措置を講じた)

ネイティブ表現②|Recurso de alzada(上訴・異議申し立て)

行政や法的な場面で使用される専門的なフレーズで、より高い権限を持つ機関に対して異議を申し立てることを指します。

スペインの法制度に特有の表現としても知られています。DELEのレベルに換算して考えると、C1以上の難しめの語彙にあたります。

Presentaron un recurso de alzada tras no estar de acuerdo con la decisión inicial.
(彼らは最初の決定に不満を持ち、上訴を提出した)

ネイティブ表現③|Suspender el acuerdo(合意内容を停止する)

この表現は公式または法的な文脈でよく使われ、既存の合意や契約の効力を一時的に無効にすることを意味します。

文脈によっては、緊急措置としての意味合いを含みます。

Las partes decidieron suspender el acuerdo hasta que se resolvieran los problemas legales.
(当事者たちは法的問題が解決するまで合意を一時停止することを決定した)

ネイティブ表現④|Cabe recordar que(覚えておくべきことは)

この表現は、論理的なつながりや背景情報を提供するためのフレーズとして使われます。

文章や会話において前の情報を補足したり、要点を再確認する際に非常に便利です。

Cabe recordar que este jugador ya había sido convocado en ocasiones anteriores.
(この選手は過去にも何度か招集されていたことを覚えておくべきである)

ネイティブ表現⑤|Trato de favor(優遇措置)

主に批判的な文脈で使われ、特定の人や団体が公平性を欠く優遇を受けることを指します。

この表現は、ニュースや意見記事で頻繁に登場するため、フォーマルな場面でも問題なく使用可能です。

Algunos empleados se quejaron de que el jefe dio un trato de favor a sus amigos.
(何人かの従業員は、上司が友人たちを優遇したと不満を漏らした)

ネイティブ表現⑥|Adulterar la competición(競技の公正さを損なう)

この表現は、スポーツやリーグの文脈で、特定のチームや選手が優遇されるなどの不正な行為によって、リーグ全体の公正さや競争環境が損なわれることを指します。

特に、ルール違反や権力の不当な行使が絡む場合に使われる表現です。

Este tipo de favoritismos no solo beneficia a un club, sino que también adultera la competición entera.
(この種の特別扱いは、単に1つのクラブを助けるだけでなく、リーグ全体の公正さを損なう)

ネイティブ表現⑦|Fuerza mayor(不可抗力・やむを得ない事情)

法律や公式文脈でよく使われる表現で、予測不可能かつ防ぐことのできない出来事を指します。

このフレーズは契約や裁判、ニュースで頻出するため、スペイン語圏に住んでいる方やDELE C1以上を目指す学習者は覚えておくと便利です。

Debido a la fuerza mayor, se canceló el evento programado.
(不可抗力のため、予定されていたイベントが中止された)

ネイティブ表現⑧|Hacerse eco de(取り上げる・伝え広める)

直訳では「反響を作る」ですが、情報や意見を広めたり、他人の発言や意見に共感してそれをさらに多くの人に伝えるニュアンスを持つ表現です。

特にメディアやSNS、ニュース記事で頻繁に使用されます。このフレーズは、単なる情報伝達にとどまらず、その話題が注目されていることを強調する場合にも使われます。

Muchos usuarios en redes sociales se hicieron eco de la campaña solidaria.
(多くのSNSユーザーがその慈善キャンペーンを広めた)

ネイティブ表現⑨|Cuadrar números(帳尻を合わせる・収支を一致させる)

経済やビジネスの文脈で、財政的なバランスを取ることを意味します。

「números」は「数字」を意味し、ここでは会計や財務状況を指します。

La empresa tuvo que reducir gastos para cuadrar números este trimestre.
(会社は今期の収支を合わせるために経費を削減しなければならなかった)

まとめ|記事の要約・学習のアドバイス

記事の要約|ダニ・オルモとパウ・ビクトルの仮登録が公式承認される

バルセロナ所属のダニ・オルモ選手とパウ・ビクトル選手の登録問題が、スポーツ界と政治の両方で大きな注目を集めています

スペインスポーツ高等評議会(CSD)は、バルセロナと両選手が提出した異議申し立てを基に、登録を一時的に認める仮措置を発表しました。

この決定により、両選手は一時的にプレー可能となりますが、最終判断はまだ下されていません。

一方で、この措置に対し、野党第一党の国民党(PP)のボルハ・センペル氏は、政府がバルセロナを優遇し、競技の公平性を損ねていると非難しました。

スペイン語学習のアドバイス|語彙力を増やすために

全体的にいえることですが、スポーツや法律など専門分野に関する語彙は難しめです。しかし、DELE C1以上を目指すのであれば暗記必須です。

初中級者がこういった語彙を「難しい」と感じるのは当たり前です。そもそも、スペイン語ネイティブ向けにつくられているコンテンツのため、理解できなくても落ち込む必要は全くないのです。

El País などに代表されるスペインのメディアを理解するためには、それ相応の単語力が求められます。ですので、初中級者が安易に勉強に取り入れてしまうと、わからないことが多すぎて、やる気を失ってしまうリスクがあります。

つまり、A1〜B1レベルの方が『El País』 などを教材として使うことはおすすめしませんなぜかネイティブ講師は『El País』を読むようにやたらと勧めてくるのですが、鵜呑みにしない方が賢明です。

初中級者は、まずスペイン語学習者向けの教材をしっかり理解することをゴールに設定するのが良いでしょう。

例えば、Super EspañolのPrincipiante(初心者向け)のテキストや、有名YouTuber「Español con Juan」が運営するWebサイト内でPodcast(音声教材)のスクリプト(書き起こし文章)を読んでみることをおすすめします。

無理して『El País』を読むより、こういったご自身のレベルに合った教材から始めてみるのが継続学習のコツです。

ぜひ参考にしてみてください。


この記事を通じて、スペイン語で情報を得るの楽しさと、便利なスペイン語のネイティブ表現を同時にお伝えできていれば幸いです。

感想や質問があれば、ぜひコメント欄で教えてください。スペイン語を活用して、スペイン語媒体を読むことができるのもスペイン語学習の醍醐味ですね。

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これからも一緒に学んでいきましょう。¡Hasta pronto!

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