「スペイン人の話すスペイン語が速すぎて、何を言っているのか全然分からない」
「先生のスペイン語は分かるのに、ネイティブの会話になるとついていけない」
「DELEのリスニング問題が難しくて、何度聞いても理解できない」
このような悩みや疑問はありませんか?

吹き替えなしでスペイン語のドラマや映画を楽しみたい方や、資格取得のためにリスニング力を伸ばしたい方に向けて、この記事では以下のポイントについて解説します。
- スペイン語のリスニングが上達するおすすめの学習法
- 避けるべき、間違ったリスニングの勉強法
- 無料で使えるおすすめのスペイン語学習サイト
- 上記サイトを最大限に活用する方法
この記事を参考に、リスニング力を着実に伸ばして、自分の目標を達成しましょう!


なぜスペイン語の聞き取りは難しいのか?


話すスピードが速いスペイン語
スペイン語は「話すスピードが速い」と感じる人が多いのではないでしょうか。
その感覚を科学的に検証しようとした学者がいます。フランスのリヨン大学に所属するフランソワ・ペレグリーノ氏は、17の異なる言語を対象に、各言語の話速(1秒あたりの音節数)と音節ごとの情報密度を分析しました。
その研究の結果、スペイン語と日本語は1秒あたりの音節数が非常に多く、調査対象となった言語の中で「最も速い言語」に分類されました。
一方で、最も話すスピードが遅い言語として挙げられたのは中国語で、その次にドイツ語が続きます。
このように「1秒あたりの音節数」という観点では、確かにスペイン語は「速い言語」であるといえます。
しかし、この研究には興味深い続きがあります。1音節あたりの情報量に注目したところ、スペイン語は音節あたりの情報密度が非常に低い言語であることが分かりました。
つまり、スペイン語は「話すスピードが速い」ものの、「1音節に含まれる情報量は少ない」という特徴を持つ言語だということです。
これを学習者目線で言い換えると、「スペイン語はスピードが速いけれど、聞き逃しても大きなダメージが少ない言語」と言えるでしょう。
要するに、すべてを完璧に聞き取らなくても、文脈から意味をつかみやすい言語だということです。
スペイン語の発音にはルールがある
「スペイン語の発音は簡単だよ」
「スペイン語はローマ字読みでも通じるよ」
スペイン語を勉強していると、こんな話を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
発音が簡単なら、リスニングも簡単なはず。
では、なぜ多くの人が「スペイン語のリスニングが苦手」と感じているのでしょうか?
答えは簡単です。それは「私たちの発音」と「ネイティブの発音」に違いがあるからです。
本当に発音は「簡単」なのか?
確かに、スペイン語の発音は比較的「簡単」と言われます。たとえば、フランス語やロシア語のように、発音がより複雑な言語と比べれば、日本人にとってスペイン語の発音は理解しやすい部類に入ります。
ただし、ここで注意すべき点があります。それは「意味が伝わる程度の発音をすること」は簡単でも、「ネイティブのような自然な発音」を身につけるのは別物だということです。
もしあなたがネイティブのような発音ができるようになれば、スペイン人の話すスペイン語も、今よりずっと聞き取りやすくなるでしょう。
「発音」に目を向ける重要性
残念ながら、多くの人はこの事実に気づいていません。
スペイン語が聞き取れない理由を「話すスピードが速いから」と考える人が多いですが、それだけでは問題を解決できません。実際、リスニング力が伸び悩んでいる人の多くは、正しい発音に目を向けていないのです。
リスニング力を本当に向上させたいのであれば、スピードよりもまず「発音」に着目することが大切です。
幸い、スペイン語の発音にはルールがあり、それを覚えるだけでネイティブの発音にぐっと近づけることができます。
発音の例:「en un hotel」
例えば、次のフレーズを読んでみてください。
en un hotel
あるホテルで
カタカナ風にあえて書くなら「エン ウン ホテル」と読むかもしれません。しかし、ネイティブはこのようには発音しません。
ネイティブはこれを「エヌノテル」のように、全てがつながるように発音します。
発音の仕組み
- 前置詞「en」の子音「n」と直後の母音「u」がつながる
- 不定冠詞「un」の子音「n」と直後の母音「o」がつながる
- 子音「h」は無音なので発音されない
このような発音ルールを知っているかどうかで、リスニング学習の効率が大きく変わります。
発音の仕組みを理解することで、リスニング力も自然と向上していきます。
頑張ってるのにリスニング力が上がらない人の特徴と解決策


「毎日スペイン語を聞いているのに、なかなかリスニング力が上がらない」
こんな悩みを抱えていませんか?一生懸命努力しているのに成果が感じられないと、モチベーションも下がってしまいますよね。
実は、リスニング力が伸び悩む原因には、いくつかの共通点があります。
この章では、リスニング力を確実にアップさせるための勉強法を解説します。間違った方法に陥らないよう注意点もあわせてお伝えしますので、ぜひ参考にしてください。
多聴|受動的なリスニング
「la escucha pasiva(受動的なリスニング)」と「la escucha activa(能動的なリスニング)」という言葉を聞いたことがありますか?
簡単に言えば、前者は「聞き流し学習」を指し、後者が「効果的なリスニング学習」を意味します。
まず誤解のないように言っておきたいのですが、「聞き流し学習」がダメというわけではありません。むしろ、スペイン語をたくさん聞いて「耳を慣らす」ためには、この方法も重要です。
このように「量をこなすリスニング学習」を、日本語では「多聴」とも呼びます。
しかし、多聴だけではリスニング力を伸ばすことはできません。その理由はシンプルです。「わからない音」をただ何度も聞いても、それが「わかる音」にはならないからです。
リスニング力を本当に向上させたいのであれば、「わからない音をわかるようにするトレーニング」が必要です。この学習法が「精聴」と呼ばれるものです。
精聴|能動的なリスニング
「精聴」とは、英語やスペイン語のリスニング学習法の一つで、音声を一語一句丁寧に聞き、内容を正確に理解することを目指す方法です。
この学習法では、以下のようなステップを踏みます。
- 聞き取れない部分を重点的に確認する:わからない音やフレーズを繰り返し聞き、発音やイントネーションを意識します。
- 音声に合わせて発話練習をする:音声を再現できるよう練習することで、発音やリズムが自然に身につきます。
- 暗唱を行う:短いフレーズを何度も練習し、頭に定着させることで、スペイン語の語感を鍛えます。
精聴は「質を重視した学習法」といえます。
この方法を取り入れることで、スペイン語を「ただ聞く」だけでなく、「聞いて理解する」力を着実に伸ばすことができます。
精聴を取り入れた学習法|ディクテーション・シャドーイング
リスニング力を本格的に伸ばすために、「精聴」を取り入れる具体的な方法を解説します。おすすめするのは、次の2つの学習法です。
- ディクテーション(書き起こし)
- シャドーイング(音声を追いながら発音)
自分のレベルに合った短めの音声を選ぶ
可能であればスクリプト(文字起こし)が付いている音声を選びましょう。
初級者には、以下の教材がおすすめです:
- 東京外国語大学 言語モジュール『会話モジュール』
- Spanish After Hours『Beginner Spanish』
- お手持ちのテキストに付属の音声
まずは無料で使えるものを活用する
学習を始める段階では、まずはコストをかけずに使えるリソースを活用しましょう。無料のウェブサイトやYouTubeチャンネルも別の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ディクテーション(書き起こし)の手順
ディクテーションは、音声を聞き取りながら一語一句を書き起こす学習法です。
以下の手順で進めてください:
❶音声全体を通して聞く
最初に音声全体を数回聞き、大まかな内容を把握します。文脈を理解することで、後の学習がスムーズになります。
❷セクションごとに再生し、書き取る
音声を短いセクション(1文または1フレーズ)ごとに再生し、再生後に一時停止して聞き取れた内容を書き取ります。このとき、聞きながら同時に書くのではなく、聞いた後に書くことを意識しましょう。
❸書き取れなかった部分を繰り返し聞く
聞き取れない部分は何度も繰り返し聞き、それでも難しい場合は空欄にして次に進みます。
❹スクリプトで答え合わせをする
スクリプトを確認し、聞き取れなかった部分や誤りをチェックします。この際、なぜ聞き取れなかったのか分析することが大切です。
❺音読して復習する
スクリプトを見ながら音読を行い、正しい発音やリズムを確認します。これにより、リスニングだけでなくスピーキング力も向上します。
シャドーイング(音声を追いながら発音)の手順
シャドーイングは、音声を聞きながら直後に続いて発音する方法です。リスニング力とスピーキング力を同時に鍛えられる学習法として非常に効果的です。
❶音声全体を通して聞く
最初に音声全体を聞き、内容の流れを把握します。この段階ではスクリプトを見ず、耳だけで音声に集中しましょう。
❷スクリプトを確認しながらリスニング
次にスクリプトを見ながら音声を再生し、聞き取れなかった部分や理解できなかった箇所を確認します。語彙や文法もこの段階で整理しましょう。
❸一文ずつ区切ってリピート
音声を一文ずつ再生し、再生後に一時停止してその文を繰り返します。この際、発音やリズムに注意を払いながら練習しましょう。
❹音声を聞きながら一緒に読む(オーバーラッピング)
スクリプトを見ながら音声と同時に発音します。スペイン語のリズムやイントネーションを体得するために効果的なステップです。
❺スクリプトを見ずに少し遅れて発音する(シャドーイング)
スクリプトを見ず、音声の少し後を追って発音します。最初は難しいかもしれませんが、練習を重ねることで正確に音を再現できるようになります。
ディクテーション&シャドーイングを行う際の重要ポイント
- 短い音声を選ぶ:1分以内の音声から始めると集中しやすいです。
- スクリプト付き音声を活用する:スクリプトは間違いを確認するために不可欠です。
- 定期的に繰り返す:ディクテーションとシャドーイングは、短時間でも継続して行うことが重要です。
これらのポイントを押さえて実施することで、リスニング力を確実にアップさせ、スペイン語の音声がクリアに聞き取れるようになります。
ぜひこの方法を取り入れて、リスニング学習の効率を上げましょう!
東京外大の言語モジュールを使ってリスニング力を伸ばす【無料】


前述の通り、「わからない音をわかるようにするトレーニング(精聴)」は、リスニング力を向上させる上で欠かせないプロセスです。
しかし、ひとつひとつの音声を丁寧に聞き、わからない部分を解消していく方法だけでは、どうしても時間がかかりすぎてしまいます。
では、効率よくリスニング力を伸ばすにはどうすれば良いのでしょうか?
そこでおすすめなのが、「発音の大まかなルールを先に理解しておく」ことです。先にルールを頭に入れておくことで、その後のリスニング学習の効率が飛躍的に向上します。
幸いなことに、東京外国語大学が提供する「言語モジュール」という無料の学習サイトがあります。このサイトを活用すれば、スペイン語の発音ルールを体系的に学び、実際のリスニングに役立てることができます。
言語モジュールの特徴
東京外国語大学の「言語モジュール」は、言語学習者向けに作られたオンラインリソースで、次のような特徴があります:
- ネット環境さえあれば、完全無料で利用可能
- 発音、会話、文法など、多角的に学べるコンテンツが充実
- スクリプト付きの音声教材が揃っている
- ネイティブスピーカーの音声を聞きながら、リアルな発音とイントネーションを学べる
特に「発音モジュール」では、スペイン語の基本的な音声ルールや発音のポイントを動画や音声で学べるため、初心者から上級者まで幅広く活用できます。
発音の基本知識をつける|音の強弱・脱落・リンキング
スペイン語のリスニング力を伸ばすためには、まず正しい発音のルールを理解することが重要です。
まずは、「発音モジュール」の中の「実践編」にアクセスしてください。このセクションは以下の3つに分かれています。
- サバイバルのためにこれだけは
- 円滑なコミュニケーションのために
- ネイティブ並みの発音を身につけるために
最低限、「サバイバルのためにこれだけは」を理解するようにしましょう。この内容を習得しない限り、日本語的な「ローマ字読み」から抜け出すことができません。
特に、日本語とスペイン語の音を聴き比べることができるセクションは非常に役立ちます。
この機能を使って、両言語の音の違いを体感しながら学習を進めてください。
正しい発音を精聴する
発音ルールを理解したら、同サイト内の音声教材を使ってスペイン語の音をじっくり聴きましょう。この際、特に意識すべきポイントは「スペイン語のリズム」です。
リスニングには次の2つの段階があります。
- 音声を認識する
- 意味を理解する
最初の段階である「音声を認識する」ことができなければ、当然ながらその意味を理解することもできません。
この「音声を認識する」力を鍛えるために、発音ルールを学んだ後は、音声を正確に聞き取る練習(精聴)が欠かせません。
スペイン語発音のポイント
- 音の強弱(アクセント): どの部分が強調されているかを意識して聴きましょう。
- 音の脱落(リダクション): スペイン語では発音されない音も多いので注意が必要です(例:「h」は無音)。
- 音のつながり(リンキング): 単語が滑らかに繋がる現象を理解し、その特徴を捉えます。
これらを意識しながら音声を聞き取ることで、スペイン語の発音リズムが徐々に身につき、聞き取れる音が増えていきます。
音声を正確に認識する力をつけることが、リスニング力向上の第一歩です。そのためには、「言語モジュール」の音声教材を使い、丁寧に精聴を重ねましょう。
この基礎を固めることで、スペイン語のリスニング力が確実にレベルアップします。
動画を使ったロールプレイで自然な発音を身につける
発音の基本を理解できたら、「会話モジュール」に進みましょう。このセクションは、44個のシチュエーションに分かれた会話動画で構成されています。
主な会話テーマは次の通りです。
- 挨拶する
- 感謝する
- 自己紹介する
- 金額についてたずねる
- 経験についてたずねる
- 時間についてたずねる
- 提案する
- 依頼する
- 許可を求める
どのテーマから始めても構いません。まずは好きな動画を選び、字幕なしで聞き取れるか挑戦してみてください。
次に、スペイン語字幕を表示させて内容が理解できるか確認しましょう。その上で、お手本の発音を真似ながら、発音練習を繰り返します。
この動画を使ったロールプレイを1日に10分でも続けるだけで、1ヶ月後にはスペイン語の発音が格段に良くなっているはずです。
正しい発音を身につけることで、正しい音を聞き取れるようにもなります。結果として、リスニング力も自然に向上していきます。
おわりに
今回の記事はいかがでしたか。インプットした情報をしっかりと頭に定着させるためには、アウトプットすることが効果的です。今日学んだことをノートにまとめたり、SNSでシェアしてみることをおすすめします。
感想や質問があれば、ぜひコメント欄で教えてください。今後も、スペイン語学習に役立つ情報をさまざまな形で発信していきます。
「スペイン語を学び直したい」
「もっと自由に話せるようになりたい」
と思っている方は、ぜひYouTubeチャンネルをはじめとする、SNSアカウントをぜひフォローしてくださいね。


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最後までお読みいただきありがとうございました。
これからも一緒に学んでいきましょう。¡Hasta pronto!
コメント
コメント一覧 (4件)
こんにちは!以前からフォローさせていただいています。
Xのプロフィールに「スペイン語の教育事業をスタート」と書かれていますが、もう何か始めていらっしゃるのですか?見逃していたかと思いまして…
レッスンなど提供されていればぜひ受講させていただきたいと思っています。よろしくお願いします(^^)
ありがとうございます。
結論から申し上げますと、まだ始めておりませんが今月中(12月中)には始めさせていただきます。
取り急ぎ、公式LINEアカウントの開設を今週行う予定ですので、よろしければそちらからご登録(登録自体は無料)いただけますと幸いです。追加情報等もそちらにお送りしていくようになります。
以上、何卒宜しくお願い致します。
ご丁寧なご返信をありがとうございます。楽しみにしております。
来年以降の学習方法を検討しておりまして、のぶしーとさんのレッスンはどのような形態になる予定かだけ教えていただくことは可能でしょうか?実はこれまでグループレッスンを受けてきたのですが、他の方のレベルやペースに合わせるのがだんだん億劫になってきてしまっていて、のぶしーとさんのレッスンはマンツーマンだと嬉しいなぁと思っているところです。お手数をお掛けしますが教えていただければ嬉しいです。
マンツーマンレッスンですね。