【スペイン語】ゼロからB2レベルまでに必要な学習時間とは?

スペイン語をゼロから学び始めたいけど、学習法が決まっていない」

自分の目標に対して必要な学習時間を調べたけど、見つかっていない

「これまでの学習時間に対して、思うような結果がついてきていない」

このような悩みや疑問はありませんか?

のぶしーと

必要な学習時間は個人差による開きが大きいため、数字を出すこと自体が「ナンセンス」だと考える人もいます。

しかし、私はたとえ「目安」だとしても学習時間を知るべきだと思います。その「目安」を起点に、より効果的な学習プランを立てられるからです。

この記事を通して、あなたの目標に相応しい学習時間の「目安」を見つけましょう!きっと今後の学習に役立つはずです。

目次

スペイン語で求められる学習時間|英語学習との違い

スペイン語学習に関する信憑性のあるデータはない

スペイン語を学ぶために必要な時間については、さまざまな意見があります。しかし、その多くは客観的なデータに基づいたものではありません。

ネット上で見かける情報のほとんど(99%と言っても過言ではない)は、発信者個人やその周囲の経験談に過ぎません。

たとえば、「3ヶ月でDELE B2に合格した私の学習法」といったタイトルの記事を読んでも、それがあなたに役立つかどうかは保証されません

理由は以下の2点です:

発信者の性格や環境、学習タイプが、あなたと同じとは限らないから
個人差が大きいため、同じ方法を試しても同じ結果を得られるとは限りません

(※「学習タイプ」に関する詳しい解説はこちらの記事をご覧ください)

❷発信者が利用したリソース(学習にかけることができる時間やお金)を、あなたも同じだけ利用できるとは限らないから
例えば、学習時間やお金、環境などが異なる場合、その学習法を再現することは難しいでしょう。

具体的に言えば、スペイン語圏のパートナーがいる人の「留学なしでスペイン語を独学する方法」が、必ずしも参考になるとは限りません(あなたにスペイン語圏のパートナーがいる場合を除きます)。


ラルル

じゃあ、何を頼ればいいの!?

そう思うのも無理はありません。しかし、日本語を母語とする人がスペイン語を学ぶケースについて、具体的な研究や統計データは存在していません

ラルル

じゃあ、どうすればいいの!?

のぶしーと

まぁまぁ、安心してよ。その答えを伝えるためにこの文章を書いているんだよ。

英語学習の研究を応用して考える

日本語を母語とする人がスペイン語を学ぶ場合の学習時間について、信頼できる具体的なデータは存在しません。そのため、類似するデータを参考にする必要があります。

幸い、日本人が英語を学ぶ際の学習時間に関しては、以下のような信頼性の高い研究があります。

日本人の英語学習時間について
-これまでの学習時間とこれから求められる学習時間-

坂田 浩・福田 スティーブ
徳島大学国際センター・文教大学教育学部
(2018年11月)

今回はこの研究を参考にしつつ、スペイン語学習への応用を試みます。

スペイン語は「英語に最も似ている言語群」

まず、大前提として知っておくべきことがあります。それは、スペイン語が英語に最も近い言語群に分類される」という事実です。

この根拠は、アメリカ外交官養成局(FSI: Foreign Service Institute)による研究に基づいています。同機関では、英語を母語とする人が各言語を習得するまでの期間を基に、言語の習得難易度を分類しています。

その結果、スペイン語は最短の24週間(600~750時間)で習得可能な言語に含まれています。この時間は、スペイン語を全く知らない英語母語話者がC1レベル(CEFR基準)に到達するために必要な授業時間の目安です。

このC1レベルは、日本人に馴染みのある英検1級に相当します。つまり、外国語学習者にとって非常に高い目標が設定されているといえます。

一方、B1やB2レベルといった、より低いレベルを目指す場合は、当然ながら必要な学習時間は短くなります。

たとえば、ゼロの状態から約半年(24週間)でC1レベルに到達可能である点を考えると、英語話者にとってスペイン語は「習得しやすい言語」と言って差し支えありません。

対照的に、英語母語話者にとって日本語は「超難関言語」に分類されています。FSIによれば、日本語を習得するためには約88週間(2,200時間)が必要とされています。

これは、英語と日本語が大きく異なる言語であることを示しています。

話を英語とスペイン語の関係に戻しましょう。数ある言語の中で、英語とスペイン語は非常に近い関係にあります。

この「英語≒スペイン語」という関係性を考慮すれば、日本人の英語学習時間をスペイン語学習時間に応用して考えることも、有効なアプローチと言えるでしょう。

楽観的な学習プラン|ゼロから短期集中で学ぶ場合

学習プランを楽観的に考えてみる|SNSでよく見かける情報

これまでの前提を踏まえ、日本語話者がスペイン語を学ぶ際に必要な学習時間について考えてみましょう。

もちろん、学習時間は個々の状況によって大きく異なりますたとえば、学習法や可処分時間、さらには学習に取り組むモチベーションなどが影響するため、万人に共通する具体的な数値を提示することは困難です。

そこで今回は、短期集中で学ぶ場合長期的に取り組む場合という2つのパターンを考慮し、それぞれに適した学習時間を提案します。

スペイン語をゼロから短期集中で学ぶ場合の学習時間とは?

まずは、「短期集中で学ぶ場合」について解説します。

このプランは、SNSやYouTubeでよく目にする「たった◯ヶ月でスペイン語ペラペラになった私の学習法!」といった動画や記事で説明されるような、楽観的な(簡単に達成できるように聞こえる)計画をイメージしています。

参考として、英語学習をテーマにした有名なYouTuberが語る「TOEIC 900点合格までに必要な学習時間を取り上げてみます。

なお、TOEIC 900点はB2〜C1レベルに相当する語学力と言われています。

❶Atsueigo(チャンネル登録者数63.5万人)

  • 英語力ゼロ(中学英語が理解できている前提)からTOEIC 900点を獲得するための方法をシェア
  • 彼の学習プランによれば、6ヶ月で達成可能(約900時間

ブレークスルー佐々木(チャンネル登録者数122万人)

  • 英語力ゼロ(前提条件なし)からTOEIC 900点を獲得するための方法をシェア
  • 彼の学習プランによれば、12ヶ月で達成可能(約1,000時間

❸ 英語コーチ-イングリッシュおさる(登録者数47.2万人)

  • 英語力ゼロから(前提条件なし)からTOEIC 940点を獲得するための方法をシェア
  • 彼の学習プランによれば、3ヶ月で達成可能約720〜1,080時間)

これらのデータを見ると、1日あたりの学習時間によって学習期間に差があることがわかります。しかし、学習時間そのものについては、おおよそ共通した意見が見られます。

3名の意見を合算すると、必要な学習時間は720〜1,000時間で、目安としては約900時間が妥当なラインといえます。

この数値を基に、スペイン語学習の計画を楽観的に立てる場合、ゼロからB2〜C1レベルまで到達するのに必要な学習時間も900時間前後と考えられます。

くどいようですが、これは短期集中でガツっと学びたい!」という方のための楽観的学習プランです。

仕事や家事でまとまった学習時間が取れないという方は、次項の現実的な学習プランの方をご参考にしてください。

なお、この数字は日本国内で独学する場合を想定しています。そのため、留学したり外国人のパートナーがいる環境で学習する場合は、より短期間で目標を達成できる可能性があります。

現実的な学習プラン|ゼロから長期スパンで学ぶ場合

絶対に把握すべき!英語とスペイン語学習の違い

前章では、短期間でスペイン語力を伸ばしたい方のために「楽観的な学習プラン」を紹介しました。

しかし、話をシンプルにするため、あえて触れなかった重要な点があります。それは、英語をゼロから学ぶ」という表現の正確性についてです。

日本で生まれ育ち、日本の教育を受けた方なら、少なくともどこかのタイミングで「英語」を学んだ経験があるはずです。

たとえば、前述の論文『日本人の英語学習時間について-これまでの学習時間とこれから求められる学習時間-』によれば、日本人が小学校から大学までに費やす平均的な英語学習時間は、合計1052.1時間とされています。

さらに、以下の本でも類似のデータが示されています。

第二言語習得論に基づく、もっとも効率的な英語学習法
著:佐藤 洋一
(ディスカヴァー携書、2015年12月26日出版)

インプットを始めてから英語学習の効果が表れるまでにはかなり長い時間がかかると言われ、一説には約2,000時間とされています。中学・高校で800時間ほど英語を学習したとはいえ、まだまだインプットが足りないということです。

引用:同著45ページ

これらの情報を基に考えると、高校卒業時点で約800〜900時間の英語学習を終えていると推測するのが妥当でしょう。


英語を「ゼロから学ぶ」は、事実上不可能

ここで、「英語をゼロから学ぶ」というよくあるキャッチフレーズに戻りましょう。

この種の発信の多くは、社会人になってから英語をやり直したい人」をターゲットにしています。

こうした発信者は、「私は英語力ゼロから◯ヶ月でTOEICスコア◯◯を達成しました!」といった主張をよくしています。しかし、ここには見過ごせない点があります。

ツッコミどころは明らかです。

のぶしーと

すでに約800〜900時間は英語を勉強しているはず…!これじゃゼロから学びました」とは言えないでしょ!笑

スタートラインの英語力がどの程度か(完全にゼロなのか、中学英語程度は習得済みなのか)を明確にしないアドバイスは、正直なところ信憑性に欠けると言わざるを得ません。

なぜなら、学習の「スタートライン」が異なる場合、比較自体がフェアではないからです。

読者の皆さんにも、この点をしっかり見極めていただきたいと思います。


小学校〜高校までのスペイン語学習時間は「ほぼゼロ」

これを踏まえ、話題をスペイン語学習に移しましょう。

皆さんは、小学校から高校までの間にスペイン語をどれくらい学びましたか?

おそらく、99%の日本人は高校卒業までスペイン語に全く触れたことがないでしょう。

もちろん、家庭環境や特別な機会に恵まれ、子どもの頃からスペイン語に親しんでいた方もいるかもしれません。しかし、多くの日本人(私を含む)はそうした環境とは縁がありません

結果として、「大学で初めてスペイン語に触れた」という方がほとんどだと思います。

大学でのスペイン語学習といっても、状況はさまざまです。

外国語大学や上智大学のイスパニア学科のように、本格的にスペイン語を専攻する方もいれば、一般的な大学で第二外国語として基礎的な授業を受ける程度の方もいます。ちなみに、私も後者に属します。

総合大学の中でも、私が通っていたFランク大学ではスペイン語の授業数が非常に限られていました

こうした背景を踏まえると、英語とスペイン語の大きな違いは明白です。それは、小学校から高校までの学習時間の有無です。

◎英語:約800〜900時間
◎スペイン語:ほぼゼロ

この「下積み」とも言える学習時間があるかないかで、その後に必要な努力量や学習時間が大きく変わってくるのです。

自主学習(独学)でスペイン語のB2レベルに到達するために

改めて、前述の論文『日本人の英語学習時間について-これまでの学習時間とこれから求められる学習時間-』から一部を引用します。

(前略)Jackson, Zhong, Phillips, & Koroluk(2018)の研究を見る限り、ほぼ完全に学習者の自主性に任せて学習させた場合、学習者の多くが最終試験のほぼ前日までオンラインでのテスト勉強を先延ばししたと報告しており、自主学習における自己コントロールがいかに難しいかを如実に表している。

引用:同著22ページ

このように、大人になってからの自主的な外国語学習は「先延ばしとの闘いとなります。

もちろん、これは英語に限った話ではなく、スペイン語学習にも同じことが言えます。

大学卒業後・留学後・スペイン語圏のパートナーと別れた後など、あらゆる理由で始める「自主的な学習(独学)」において、自分をコントロールできるかどうかが、学習の成否を分けます。

今から申し上げることは大切なので、強調しておきます。

第二外国語を独学する場合、先延ばしにしたら終了です。

なぜなら、一度後回しにしたら最後、次に「やる理由(モチベーション)」が降って湧いて来るのがいつになるのかわからないからです
(ココが英語学習と決定的に違う)

ラルル

いつかDELE B2に合格したいな…

のぶしーと

厳しいことを言うと、こんな発言をしている人で合格した人を見たことがありません。

「なんとなく勉強していれば、いつか受かる」と思っていたら大間違い。

ハッキリ言って、そんなに甘くないです。それ相応の覚悟と努力が必要です。

では、実際にゼロからスペイン語を学び、B2レベルに到達するための現実的な目安時間を見てみましょう。

  • B2合格までに必要な学習時間5,005時間
  • C1合格までに必要な学習時間7,225時間

これらの数字は、短期集中で学ぶ「楽観的な学習プラン」の目安時間(800〜900時間)と比べ、約5〜8倍の時間を要する計算です。

いかがでしょうか?これらの時間を見て、「長すぎる」と感じた方もいるかもしれませんね。


「そんな時間はかからないはず」という意見に対して

多くの方が、上記の学習時間に対して「そんなにかからないはずだ」と感じる理由には、以下のような根拠があるのではないでしょうか。

  1. 友人は、もっと短い時間でB2やC1に受かった。
  2. 尊敬する〇〇さんは、たった数ヶ月で合格した。
  3. ネイティブの友人が「そんなに時間は要らない」と言っている。

これらの意見に触れると、学習時間が「長すぎる」と感じるのも無理はありません。しかし、ここで一つ強調したいことがあります。


DELE合格=そのレベルに到達したわけではない

DELEに合格したからといって、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)が定める能力を完全に習得しているとは限りません

DELE試験では、各カテゴリーで60%以上の正答率を達成すれば合格できます。一方で、たとえばB2レベルに相当する英検準1級の合格ライン目安(配点は非公表ですが)は、おおよそ70%以上とされています。

この比較からもわかるように、DELEの合格基準は相対的に緩やかです。そのため、合格者の中でも本当にB2レベルのスペイン語運用能力を持っていると感じる人はあまり多くありません。

個人的な経験に基づけば、B2資格保有者の中でCEFRが定める能力を実際に持っていると感じる人は全体の30%程度です(あくまで主観的な印象です)。


ネイティブの意見は信憑性に欠ける

さらに、「ネイティブの友人が『そんなに時間は要らない』と言っている」という意見にも注意が必要です。

ネイティブスピーカーは、DELE試験を受験した経験がなく、その内容や採点基準について詳しく知らない場合がほとんどです。

そのため、「B2なんて簡単だよ!」といった発言は、試験の具体的な要求や基準を理解していないがゆえのものと考えられます。

また、たとえスペイン語講師であっても、DELE試験の細かい要求事項(たとえば必要な語彙や文章スタイル)を正確に把握しているとは限りませんこの点も注意が必要です。

まとめ

スペイン語をゼロから学び、B2レベルに到達するには、多くの時間と計画的な努力が必要です。

「短期集中型」では約900時間「現実的な長期プラン」では約5,005時間が目安となりますが、その達成には自己コントロールが不可欠です。

また、DELE試験の合格とCEFR基準の能力習得は必ずしも一致しない点に注意が必要です。

合格ラインの緩やかさから、資格保有者の中でも本当にそのレベルの能力を持つ人は一部に限られるという現実があります(あくまで主観的な印象です)。

また、ネイティブの意見を過信するのではなく、自身の学習状況や目標に基づいた現実的なプランを立てることが重要です。

この記事を通じて、目標達成に必要な学習時間やそれに基づく現実的なプランの立て方が伝わっていましたら幸いです。

感想や質問があれば、ぜひコメント欄で教えてください。今後も、スペイン語学習に役立つ情報をさまざまな形で発信していきます。

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「もっと自由に話せるようになりたい」

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また、皆様のスペイン語学習の一助となるよう公式LINEを開設しました。

DELE筆記試験の模範解答(A2〜C1)など、さまざまな特典を無料で手に入れるチャンスです。

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最後までお読みいただきありがとうございました。

これからも一緒に学んでいきましょう。¡Hasta pronto!

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コメント

コメント一覧 (8件)

  • いつ頃になりますか?そろそろ今年の学習プランを確定したいと思っています。

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          本サービスは、現在業界に存在する既存のサービスとは一線を画す内容であるため、対象のお客様を絞り、丁寧にご説明する必要があると考えております。

          準備に時間を要しており恐縮ではございますが、本日18時の配信を今しばらくお待ちいただけますと幸甚に存じます。

          • 拝見しましたが、オンラインセッションのご案内のみでしょうか。スペイン語を教えて頂けるものと思っていましたが。

          • まずは、オンラインセッションを実施させていただきます。これは、「正しい学び方」を習得することが最も重要であり、誰にとっても有益だと考えているためです。

            その他のサービス内容については、上記のオンラインセッション内で告知させていただく予定です。

            なぜ、このような方法を選んでいるのか?
            その理由は、動画作成からサービス提供までの全工程を私一人で行なっているためです。その関係で、少数の方限定でしかサービスをご提供できない状況です。

            そのため、オンラインセッションにご参加いただいた方に優先的に情報をお伝えする方が、効率的であると判断しております。

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